COUNTER BREAK

ブイさんと本と映画などの記録。

金閣寺の感想文

福岡公演、見てきました

 演出の面白さを見せてもらった舞台でした。
 最初に演者たちが出てきて、朗読する。
 椅子を引かれ溝口が立ち上がった瞬間、現実から「金閣寺」の世界へと場を移す。
 黒板に書かれた文字で「金閣寺」を表現するとは…。
 溝口の見ている金閣寺を観客も想像で見る。
 金閣という文字から、それぞれの金閣寺を描きだす。
 ……亜門さんって凄い人なんですね。
  今までコーヒーのCMしか知らなくてすみません!
 
 ♪だばだ〜だばだ〜あぁぁぁぁ〜〜〜

 あの黒板の使い方が一番印象的だったかも。
 水面を表現し、金閣寺のバックにどーんと自己紹介のように書かれている文字。
 演劇を見に来て文字のもつ力を感じさせられるとは意外。

 長い話を削り落とすのは大変だと思うけれど、原作を斜め読みすれば大体話の流れがつかめた。
 これを見てからまた原作を読むのも面白そう。


 机が階段になり、門になり、タクシーになり、家になり。
 ほとんどセットを変えずに、ここまで表現できるんだ!
 この舞台は想像力を喚起させられます。

 ずっと溝口を見ている金閣。
 溝口は金閣だと思っているが、あれは溝口自身?
 根っこに植えつけられた観念か。

 壁に映し出されるノイズのような映像は、子宮のイメージに思えた。砂嵐は子宮の中の音と似ているらしいので。
 人間失格でも人生を表現するのに使われていた列車。
 溝口を乗せた列車では彼を追い詰める人々が次々に現れ、胎児の映像が浮かび上がる。
 そして彼は全ての源泉である海へと辿りつく。
 旅の中で自らの中へ深く沈み、自己と向き合う溝口。

 三人が対峙し自らの主張をぶつけ合うシーンでは、三者三様の世界との戦い方を見せられた。
 死によって逃避した鶴川、認識によって自分の世界を変えた柏木、行為によって外界を変えようとする溝口。
 合わせ鏡ではなく、3枚の鏡が重なり合うと万華鏡のように様々に形を変える。
 溝口のいう行為。
 どうしても作者の切腹を思い起こさせる。
  
  
 禅海和尚が父と一人二役なのも意味深。
 和尚との会話で、溝口は父の観念から解き放たれてもいいのだと自分を許したような。
 行為に向かう直前、ナイフを舐め、恍惚とした表情を魅せる溝口。
 童貞の彼が自分の「行為」で感じる初めてのエクスタシー。(舞台では童貞のままだったので)
 自分を支配する金閣を切り裂いた瞬間、これまでずっと暗かった舞台が、一気に明るくなり、舞台を狭く見せていた壁も崩れ、溝口の世界が広がった事を観客に感じさせる。
 炎に包まれた鴉は鳳凰となり火の中から蘇る。
 溝口は自分を荼毘に付し、また生まれ変わったのだ。
 さび付いて開かなかった鍵を扉ごと燃やし、彼は「生きよ」と笑って外界へと降り立つ。
 剛がインタビューで「溝口は強い」と言っていた理由が理解できた。
 溝口の強さが見えると、明るさの仮面を被っていた鶴川や、理論武装していた柏木の弱さが見えてくるから面白い。

 火をつけてやっと溝口の肩から強張りが解けるのに気づいたとき、溝口の肩にも何かの意図があるんだろうと思った。
 溝口が肩を抱かれるシーンが多くて気になっていた。
 クビが見えないほど持ち上がっている肩はいつも萎縮しているのを表しているだけでなく、父親が背後から肩を掴むシーンで息子への愛情や期待や金閣への観念を乗せ、柏木や鶴川もそれぞれの念を溝口の肩に乗せていく。
 彼の肩には他者の念が重く圧し掛かっている。
 それをやっとおろせたのだ。

 ぎゅーっと押し込められていた感情や言葉が、ラストシーンで一気に解放される。
 素晴らしいカタルシス。

 しかしそのままでは終わらず、最後には痛いくらいの沈黙と闇で終演に。
 一つの闇を抜けて、溝口はまた新たな闇の中へ向かうのか。
 人生とは闇と光の繰り返しであるのか。
 列車の中で、光と闇が交互に顔に当たっているシーンのようだ。
 最後に重い感情と爽快感が残るのが面白い。



 ♪だばだ〜だばだ〜あぁぁぁぁ〜〜〜


 思うままに感じた事を書いたので意味不明で申し訳ないです(´_`;)


 キャストの感想など。

溝口=森田さん
 言葉を出したいのに出せないもどかしさが、見ていてこちらも喉が詰まった。
 アイドルとしての彼を見ているし、普段の剛が溝口とは全く違うと知っているのに、溝口に見える不思議。
 それにしても足が長い…。もっと足の長さを主張してもいいと思います!
 私、正座するとケツが足の裏に半分以上乗るんですが剛は全然乗らない。
 私のケツがでかいことを差し引いても、剛の膝下がかなり長いということは間違いないのでは…(・言・)
 舞台上を走る足音がネズミぐらい軽かった。
 

鶴川=大東さん
 爽やか!
 風早くんなみの爽やかさ!(君に届け)
 シロツメクサを渡すシーンで ♪小さな恋のお話〜 とトニセンの歌声が聞こえました…。
 彼が出ているシーンだけは青空みたいな。
 それだけに偽りだと知ったときの悲しさが増す。
 鶴川が溝口を「君」と呼ぶのが好きです。きゅんとする(笑)

柏木=高岡さん
 あおいちゃんの旦那さん、という認識しかなかったのですが、見方が変わりました。
 強がっている柏木の弱さや色気をしっかり感じさせてくれました。これから注目します。
 いつか夫婦競演とかも見てみたいな。
 声も良いです!


有為子・師匠=中越さん
 ウエスト細!!
 あのウエストの細さ!!
 見た目も美しいんですが、声も綺麗だし、佇まいが凛としている女性です。
 あの乳房のシーンが印象的すぎた…。


鳳凰=山川さん
 友達が「金閣マン」っていうから…!
 その言葉のインパクトが強すぎて(笑)金閣マンでした。圧倒的な存在感でした。
 人間じゃないみたい。
 ご一緒したYさんがパンフを見ながら「アンガー●ズに似てる」と言うので、もう色々混ざった(笑)
 溝口が表の主役なら間違いなく裏の主役。



・可愛かったところ

☆まき割りのシーンの剛のポーズが好きだ。
 一人だけあぐらというか体育すわりみたいになっている股関節の硬さは健在。
 
☆五右衛門の物まねをするシーンで26日では大東くんが「はて、絶景かな」とやったシーンで、続いた剛が手を出して「さて」と言って、大東くんが「さてじゃないよ(笑)」というやり取りが超可愛かったです。
 その後、溝口が照れ笑いしながら鶴川の胸に顔を埋めていた…。
 この二人甘酸っぱいな。アハハ…。

☆26日 マチネ 杜若をつんできてくれないか?と言われて「うん」という言い方がとても可愛かった。素直!
☆26日 ソワレ カーテンコール手足をジタバタさせて出てくる高岡くん。
☆27日 カーテンコールで剛の方に投げチューをしながら出てくる高岡くん。剛も高岡くんに投げチュー。
 ファンにも投げてクレ!クレ!

 
 ものすごく残念だったのが26日のソワレ、ラストの煙草シーンで鳴っている携帯…。
 剛も煙草を床に叩きつけてましたが…(;´∀`)
 静寂も演出みたいなこの舞台では辛すぎる!

 荒神を見に行ったときを思い出しました。
 あれは大阪千秋楽。
 サラサーディーとジンの切ないシーン。
 ふと気づく……

「私、携帯切ってない!マナーにもしてない!!:(;゙゚'ω゚'):」

 人間って一瞬であれほど汗をかけるんだと初めて知りました。
 それから内心パニックになりつつ、バッグに手を突っ込んでゴソゴソ(暗いシーンなので携帯の明かりも邪魔になるため出せなかった)ものすごく怪しい動きをしつつ携帯を切ったのでありました。
 しかも着信が「ンアマイシェルタ〜〜〜」だったのであります。
 もし鳴っていたら「どこの坂本ファンだよ!」とまーくんファンに濡れ衣を着せてしまうところでありました…。
 携帯には気をつけましょう!