私の男
主人公・花の結婚式、父との別れから物語は過去に遡る。
24歳の花、21歳の花、高校生の花、子供の花。
時を遡るごとに彼女と父との関係が徐々に明らかになっていく。
最初はクセのある文章に読みづらさを感じましたが、慣れれば気にならなくなりました。
同じ罪を背負い、ひっそりと二人だけで生きてきた父と花。
父と娘であり、母と息子であり、半身でもある二人。
二人の間にあるのは、愛情とは違うもっと根深い執着で気持ち悪さを感じさせる。
だが、他者を寄せ付けない二人の世界は周囲の人たちに嫌悪と同時に惹きつける何かを抱かせるのかもしれない。
最終章のラストで「ずっとおとうさんの手を離さない」と誓う幼い花。
二度と会わなくても、父娘の心は絡み合ったまま解けることはないのだろう。